やばいブログ

何がやばいのかは想像にお任せします。

【告知】扶桑社新書『陰謀論と排外主義』(11/28発売)に寄稿しました+おまけ

noteにも全く同じ記事を投稿しています。

SNSの方では告知済ですが、今月28日に扶桑社より刊行の新書『陰謀論と排外主義 分断社会を読み解く7つの視点』に原稿を書かせていただきました。

共著者は藤倉善郎さん、黒猫ドラネコさん、古谷経衡さん、清義明さん、選挙ウォッチャーちだいさん、菅野完さんという超豪華な面々です。タイトル通り「陰謀論と排外主義」というテーマについて、それぞれの専門分野からの知見が一同に介している、読み物としても面白い本になっています。

自分みたいないちネットユーザーの文章がこの中に入っていて大丈夫なのかという気持ちは正直な所まだありますが、なるべく他の原稿にも見劣りしないようなものを頑張って書いたので是非お求めいただきたく、出来れば予約をお願いしたく思います。

すごい一体感を感じる」の今

筆者の担当分では、陰謀論者」というマーケットから参政党のような強力な組織がどのように生じるのかについて、マーケティング社会心理学の理論を参照しながら論じています。

詳しくは書籍をお買い求めのうえお読みいただきたく思いますが、拙稿において中心となっている「一体感」というキーワードについて、書籍には書ききれなかったエピソードをここで紹介したいと思います。

去年の兵庫県知事選挙のあと、筆者のタイムラインに懐かしいアスキーアートが流れてくるようになりました。

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反ワクチンと保守勢力「闇の5年間」

(2025年7月15日、武蔵小山某所。参政党・幸福実現党・集団ストーカー啓発ポスターが一同に介する)

[8/30 文章を一部変更しました]

先の参院選では、それまで争点として注目されていなかった外国人を巡る政策の是非が急浮上し、選挙期間中には政府が入国管理の厳格化を発表、これまで自民党に比して中道よりの立場を取ることの多かった公明党までもが同調する姿勢を見せ、現在まで様々な議論を呼んでいます1

なぜこうした争点が大衆の注目を浴びたのか、という大きな議題についてはそこら中のメディアで論じられているので有識者の方々に譲るとして、ここでは陰謀論やカルト集団について観察している筆者からの視点について語ってみます。

今回の参院選において、党派として外国人政策を重視していた団体として主に挙げられるのは、参政党、日本保守党(国政政党)、NHK党、日本誠真会、無所属連合、日本改革党、日本保守党(確認団体)の7団体です。

このうち、日本改革党を除いた6団体には共通する特徴があります。いずれもコロナ禍以降の反ワクチン勢力と密接に関係しているということです。

参政党はそもそもが党是として反標準医療傾向を持っており、今回の選挙でも公約としてWHOからの脱退を掲げていました2。日本誠真会はその参政党から一昨年に離党した吉野敏明が立ち上げた団体です。無所属連合はコロナ禍以前より偽科学や反標準医療のスプレッダーとして活動していた内海聡による団体です。

今回「日本保守党」という同じ名前の別々の団体が候補者を擁立していましたが、いずれも党首が反ワクチン活動に関係していました。国政政党の日本保守党百田尚樹代表は6月に開かれた反ワクチン団体GHFの集会に登壇し、「日本保守党はワクチンも含めた自公政権の政策と戦っている」と発言しています3確認団体の日本保守党石濱哲信代表も2021年から多くの反ワクチンデモや街宣に参加しています。

NHKは現在こそ党として反ワクチン政策を掲げてはいませんが、かつては「コロナ問題を考える会」などの反ワクチン団体を率いていた黒川敦彦を幹事長に据えており、コロナ禍以前には平塚正幸や石川新一郎のような、後に反ワクチン活動に従事する人物を擁立していました(とはいえ、これは愉快犯的な側面が強いと思われ、前述の党派とは趣が異なります)。

このように、今回の選挙でいわゆる「外国人問題」を争点とする党派が急増した要因の一つには、コロナ禍以降の反ワクチン・陰謀論勢力の潮流の変化という側面が指摘できます。かつて反ワクチン思想を持つ人々は左派傾向が強いとされていましたが、コロナ禍を境に、新たに保守系の反ワクチン勢力が急速に広がっています4

原口一博川田龍平須藤元気など旧民主党系の政治家にも反ワクチン傾向の人物は多くみられますが、選挙結果から明らかなように党としての支持には結びついていません5。反ワクチン傾向の強い左派政党であるれいわ新選組も、反ワクチン運動全体においては存在感を示せていない状況です。

前回の記事で示したように、これはコロナ禍以降の反ワクチン運動の主導権を保守勢力が握っていることに起因します。今回の記事では視点を変え、保守勢力が反ワクチン運動に接近していった経緯について掘り下げていきたいと思います。

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なぜ日比谷公園に一万人の陰謀論者が集まったのか

5月31日、日比谷公園にて「WHOから命を守る国民運動 大決起集会」なる大会が開かれました。平日にもかかわらず野外音楽堂は超満員となり、溢れた人々の列が霞門から松本楼までの道のりを埋め尽くしました。

(人で溢れる日比谷公園)

大会の後行われた銀座から京橋までのデモ行進は3時間を超えても隊列が途切れること無く、警察側の要請により中断する事態となりました。参加者総数は主催側のインタビューによれば一万二千人、現地に赴いた(筆者含む)ウォッチャーの集計も一万人前後となっています。

この集会には慶應義塾大学名誉教授の憲法学者である小林節が参加し「今日から私もこの運動に参加します!陰謀論者と言われてもいいです!」と言い放ったことで話題となりましたが、共同通信の取材によると、小林は集会に参加したことについて後悔しているようです。

 小林氏は集会に参加したことをどう考えているのだろうか。取材に対し、小林氏は「論争に参加するという考えで集会に参加し、治験がなされていないワクチンの危険性について啓蒙され、その点について賛同の発言をした」と説明した上で、「発言の一部が切り取られて拡散したが、多くの人から批判を受けて反省している」と話す。

 パンデミック条約やWHOを批判する集会の主張については「前提知識に欠けていて、荒唐無稽な発想だ」として、相容れないとの考えを述べた。集会後、主催者らが小林氏の事務所を訪れ、長時間にわたって主張を説明したが「WHOが世界を支配しようとしているとか、人体実験をしているとか、被害妄想としか思えなかった」と言う。

(「パンデミック条約」反対集会に1万人超、拡散する陰謀論 強制接種、その情報はどこから?「光の戦士」発言も、強調は筆者)

小林はおそらく、新薬の安全性に対する慎重論であるとか、パンデミックを奇貨とした国家による際限のない権限拡大に対する懸念といった方向性から参加を決めたのだと思いますが、この集団の主張はそんな生易しいものではありませんでした。

デモ行進の際に先導車がエンドレスで再生していたテープの内容を一部引いてみます。

沿道のみなさん!是非とも知ってほしいことがあります!コロナで恐怖を煽ったのち、一方的な情報をメディアで流して国民を騙し、その結果30万人を超える命を奪った犯罪的なワクチン政策!

WHOは、ワクチン強制接種に向け真実を隠し、法的拘束力で各国を縛ろうとしていました。しかし、そのWHOの特権を世界は許さず、WHOの思い通りにさせない動きも出てきました。それなのに、驚いたことに日本政府は、19万を超える国民の反対意見を無視して、ワクチン強制に突き進んでいます。みんなで、この動きを止めましょう!

デモの際の共通のシュプレヒコールには「人為的パンデミック宣言を阻止せよ!」「WHOと政府のプランデミックに騙されるな!」などといった文言も見られました。プランデミックとは映像作家のミッキー・ウィリスによって広まった言葉で「計画されたパンデミック」を意味します。

つまり、この「WHOから命を守る国民運動」とは「国際的な勢力によってパンデミックが意図的に引き起こされ、ワクチンと偽った毒物を人々に服用させ、全世界を一つの権力のもとに操作する計画」という明確な陰謀論的ナラティブに基づく集団なのです(河添恵子ははっきりと「ディープステート」という単語を口にしていました)。

わが国で陰謀論的信念を持つ人々がここ数年のうちに急増してきたことは既に何度も指摘されているところであり、陰謀論を信じてしまう心理構造については様々な観点から盛んに議論されています。先ごろ出版された雨宮純『危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング』(ぱる出版)では、神真都Qや参政党などの具体的な団体について、コンテンツマーケティングの観点から考察しています。

一方で、そうした信念を持つ人々が一箇所に集まりデモなどの行動に出るためには、それらを取り仕切る「団体」が必要になってきます。こうした陰謀論に基づく団体は、特にコロナ禍以降いくつも生まれてきましたが、万に達する人数を集めたことはこれまでありませんでした。

今回は、あまり表立って論じられることのない陰謀論団体」について考えながら、日比谷の「一万人集会」を実現させた要因を解き明かしたいと思います。

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【陰謀論】三浦春馬他殺説ビギナーズ・ガイド(その1)

2020年7月18日、俳優の三浦春馬さんが亡くなりました。それまでドラマ中心だった活動を映画や舞台など多角的に広げ始めていた時期の早すぎる死で、社会に大きな衝撃を与えました。

三浦春馬さんの死因は一般的に自殺と結論されています。ところが、死の直後からネット上では「自殺に見せかけた他殺であり、真犯人が隠匿されている」とする陰謀論が拡散しはじめました(陰謀論が形成された経緯については以前の記事で取り上げています)。

この陰謀論は生前の所属事務所だったアミューズによって否定されて以降も拡散し続け、やがて街頭でのチラシ配りやデモ行進といった現実世界での活動を行う集団を生み出し始めます。この集団は全国に千人規模の組織を形成し、現在も活発に活動を続けています。

コロナ禍以降、神真都Qや参政党など、陰謀論を主張の軸とした団体が数多生まれましたが、この集団はそれらと比べても特異な様相を持っている一方、あまり大々的に取り上げられることがありません。

そこで今回は、界隈を1年ほどウォッチしている筆者が、簡単なまとめを作成してみます。今からでも間に合う!三浦春馬陰謀論ガイドです。

(あの鈴木エイト氏も注目!)

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【フィクション】【やばい映画】『Revolution+1』感想 山上徹也は目覚まし時計を使わない

久々のブログ更新ですが、またやばい映画を観てきたので簡単に感想を書きたいと思います。

安倍晋三さんが殺害されて1年が経ちました。突然ですが、皆さんは昨年9月にこのような写真が話題になったのを覚えているでしょうか。

これは、9月27日に行われた安倍元首相の国葬の際に国会前に出現した、殺害犯である山上徹也のコスプレをした人たちです。当時「不謹慎だ」「ショルダーバッグも統一しろ」など各方面で炎上しましたが、実はこのコスプレ隊、ある映画監督の作品の宣伝をしています。

彼らが掲げている「銃」「銃弾」「武器」「銃口」「引金」と書かれた紙は、1971年に足立正生という監督が製作した『赤軍-PFLP 世界戦争宣言』というドキュメンタリー映画から採ったものです。「銃弾」が裏焼きになっているのは映画の演出。

足立正生は、左翼系映画監督の巨匠である若松孝二の片腕として映画界に入り、当時レバノンで活動を始めたばかりだった日本赤軍を取材、感化されてそのまま参加してしまい1997年に逮捕されるという経歴の持ち主です。その後も自主制作監督として数々の作品を発表しています。

そして山上コスプレ隊が出没したのと同日、渋谷のLoft9にて足立監督は新作の公開イベントに出演していました。その作品こそが、今回取り上げる『Revolution+1』。山上徹也をモデルにした人物が主人公の映画です。

作品紹介

公開の少し前に東京新聞などで存在が報道されるとSNSで大炎上し、一部の上映会場に抗議が殺到するなどした本作でしたが、その実態は事件直後に企画が始まり、9月27日の国葬当日に併せて公開するという超突貫工事で制作された低予算映画です。

なお、国葬当日に上映されたのは50分のラッシュ版で、今回筆者が鑑賞したのはそこから30分ほどシーンを付け足した完成版。パンフレットには、ほとんどのロケを撮影監督の自宅で行ったなどの裏エピソードなどが満載で読み応えがありました。

これまで「やばい映画」で取り上げてきた参政党の映画や幸福の科学映画と違い、有田芳生さんや望月衣塑子さんなど錚錚たる著名人が評価している作品なので茶化すのも若干気が引けますが、筆者は記事を書くために本作を3回も鑑賞したのでとりあえず内容をまとめていきたいと思います。

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【陰謀論】クイズで振り返るカルトニュース2022

2022年にカルトウォッチャー界隈で話題になった出来事の中からクイズを作ってみました。一般問題に加え、特に話題になった団体4つをピックアップしています。是非挑戦してみてください。

番号順に難しくなっている感じに並べましたが独断なのであまり気にしないでください。なお、日付は断りない場合全て2022年です。

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