やばいブログ

何がやばいのかは想像にお任せします。

【陰謀論】「ウクライナの生物兵器研究所」デマを巡る13年の旅路

ロシア軍がウクライナへと侵攻して間もない2022年3月8日、世界中の人々を困惑させる発表がロシア当局によってなされました。ウクライナには米軍傘下の生物兵器研究所が存在し、秘密研究を行っているというのです。

実はそれより前、ウクライナ侵攻が始まった時点の段階から、日本含めネット上の一部の陰謀論者の間で同様の陰謀論が拡散されていました。発端となったのはこのツイートだと考えられています(こちらについては後述)。

ツイートのアーカイブスクリーンショット、当該アカウントは凍結済み

一見すると、降って湧いたネット上の陰謀論に一国が便乗するという地獄絵図のように思えます。しかし、詳しく調べていくと、この陰謀論にはより闇の深い地獄が広がっていました。

この陰謀論は実に13年もの間、様々な人々の手を経て絶えることなく語り継がれてきたものだったのです。

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【ドキュメンタリー】【映画】【配信あり】『なぜ君は総理大臣になれないのか』感想 迷い続ける政治家

Amazon Prime Videoにて配信中の『なぜ君は総理大臣になれないのか』について、感想を書いていきたいと思います。

先立って、本作の続編である香川1区』の感想も投稿しておりますので、そちらも併せてお読みいただけたら嬉しいです。

作品紹介

立憲民主党所属の衆議院議員である小川淳也の選挙活動を追った作品です。

小川淳也香川県高松市生まれで、東大を卒業後自治省(後の総務省)に入省、32歳で退職し民主党から衆院選に出馬します。しかし、小川の出馬する香川1区は自民党所属の平井卓也が極めて強い地盤を形成しているため、選挙区では落選を続けていました。

本作の監督である大島新の妻と小川が顔見知りの関係であったことから撮影が始まったという映画で、小川の初出馬から2020年までの17年間の様子が記録されています。

自主制作の政治ドキュメンタリーというニッチなジャンルながら、対立する平井卓也も認める「キャッチーなタイトル」や内容が話題となり、徐々に上映館が拡大し3万5000人以上の観客動員(ドキュメンタリーの世界では大ヒット)を記録したようです。

国会議員を対象にしたドキュメンタリーですが、彼の政治観や思想が宣伝されることはなく、ひたすら選挙運動に焦点が当てられています。想田和弘選挙』や藤岡利充『立候補』のようないわば「選挙ドキュメンタリー」のジャンルです。

とはいえ、国会議員の選挙運動を取り上げた映画は非常に珍しいです(変則的ですが原一男の『れいわ一揆』ぐらいでしょうか)。さらに、小川淳也はその絶妙なポジションから民主党政権崩壊以降の野党の激動に翻弄された人間でした。

以下、当時映画館で観た時の感覚を思い出しつつ、改めて配信で鑑賞した上での感想を書いてみたいと思います。

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【ドキュメンタリー】【映画】『香川1区』本編&千秋楽トークイベント感想 選挙ドキュメンタリーの最高傑作!

ポレポレ東中野にて先月29日に千秋楽を迎えた『香川1区』について、上映後に行われたトークイベントを含めた感想を書いていきたいと思います。

作品紹介

立憲民主党所属の衆議院議員である小川淳也の選挙活動を追った作品です。

大島監督は2020年に同じく小川淳也を扱った『なぜ君は総理大臣になれないのか』(通称『なぜ君』)を制作しており、本作はいわば「続編」にあたります。『なぜ君』はドキュメンタリーとしては異例の観客動員3万5000人を超える大ヒット作で、本作も満を持して全国数十の劇場で公開されました。

『なぜ君』及び本作は政治家を扱うドキュメンタリーですが、小川の政治思想や政策議論などはほとんど映されません以前紹介した完黙』と同様、あくまで選挙に関するドキュメンタリー映画です。

一見してわかる本作の特徴は、「早さ」と「長さ」です。本編では小川が立憲民主党の代表選に挑むまでが描かれていますが、代表選があったのは2021年11月30日で、本作の公開日は12月24日。撮影終了から公開までわずか3週間半という超速公開でした。

  • パンフレットによると、監督は映像を撮ったそばからスタジオに送って同時並行で編集作業を行っていたそうです。超重労働!

  • さらに言えば、パンフレットには代表選の翌日に発表された小川の政調会長就任まで記載されています。

そして、本作の上映時間はドキュメンタリーどころか映画一般からしても長尺の部類に入る156分シン・エヴァンゲリオンとほぼ同じ長さです。

しかし、内容はそんな慌ただしさや長さを感じさせない、「日本の選挙」というものを描ききった傑作に仕上がっていると言えます。以下、感想を書いていきます。

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【陰謀論】日本とQアノンを結ぶ70年前の宇宙人

神真都Q」(やまとキュー)という団体が、新型コロナウイルスワクチンの接種会場に侵入し、これまでに5人の逮捕者と本部の家宅捜索を受けています。

神真都Qは単なる反ワクチン集団ではなく、現在の世界秩序を否定し、体制の打倒を目指している反社会的集団です。彼らはアメリカの陰謀論集団であるQアノンの日本支部を標榜し、ドナルド・トランプ元大統領とともに世界を影から支配する闇の組織と戦っていると信じています。

一方で、神真都Qの主張は本来のQアノンとはかけ離れた内容であることがしばしば指摘されています。また、神真都Q以前から日本のQアノンとして活動していた団体もあり、日本はアメリカに次いでQアノンの支持者が多いこともわかっています。

日本におけるQアノンの広がりについて調べていくと、ある70年前の宇宙人事件の流れを引き継ぐカルト集団の存在が浮かび上がりました。

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【ドキュメンタリー】【映画】【TBSドキュメンタリー映画祭】『戦争の狂気 中東特派員が見た中東和平の現実』感想 日常の中の戦争

ヒューマントラストシネマ渋谷にて3月18日から一週間行われた「TBSドキュメンタリー映画」から、筆者の鑑賞した3作品の感想を書いていきたいと思います。

今回は最後に観た『戦争の狂気 中東特派員が見た中東和平の現実』です。

TBSドキュメンタリー映画祭とは?

2020年、TBSが制作・公開した『三島由紀夫vs東大全共闘 〜50年目の真実〜』というドキュメンタリー映画がありました。

1969年に東大本郷キャンパスで行われた三島由紀夫全共闘学生らの討論を撮影した実際のフィルムをメインに、追加取材を交えて当時を振り返る内容でしたが、話題を呼び興行収入2億円という本邦のドキュメンタリーとしては超の付く大ヒットを記録します。

勢いづいたTBSは「TBS DOCS」というドキュメンタリー専門の部署を設立、新たな作品の制作に力を入れていきます。その発表の場として去年から開催されているのが「TBSドキュメンタリー映画祭」なのです。

日本は海外に比べドキュメンタリー映画の土壌が整っていないので、ドキュメンタリー好きの筆者としてはこれを期に層が厚くなってくれればいいなあと思っています。

作品紹介

本作は、2021年5月にイスラエルパレスチナの間で11日間行われた紛争を、当時その真っ直中で取材していたジャーナリストの視点から追ったドキュメンタリーです。

前半はイスラエル国内でミサイルが飛び交う中の人々の生活の取材、後半は停戦後のパレスチナに入り、イスラエルが犯した戦争犯罪についての調査報道という構成になっています。

現場の取材映像と撮り下ろしのインタビュー、当時のニュース番組などを交互に見せていく構成で、欧米のドキュメンタリーに近い編集となっています。TV局はこういうことができるのがいいですよね。

  • ちなみに、取材映像の大部分はYoutubeで公開されています。記事の最後にリンクを貼っておきますので興味のある方はご覧になってみてください。

監督の須賀川氏は中東を中心に活動するジャーナリストで、2022年には国際報道における賞であるボーン・上田記念国際記者賞を受賞しています。

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【ドキュメンタリー】【映画】【TBSドキュメンタリー映画祭】『完黙 中村喜四郎〜逮捕と選挙』感想 選挙を愛し、選挙に愛された男

ヒューマントラストシネマ渋谷にて3月18日から一週間行われた「TBSドキュメンタリー映画」から、筆者の鑑賞した3作品の感想を書いていきたいと思います。

今回は2番目に観た『完黙 中村喜四郎〜逮捕と選挙』です。

TBSドキュメンタリー映画祭とは?

2020年、TBSが制作・公開した『三島由紀夫vs東大全共闘 〜50年目の真実〜』というドキュメンタリー映画がありました。

1969年に東大本郷キャンパスで行われた三島由紀夫全共闘学生らの討論を撮影した実際のフィルムをメインに、追加取材を交えて当時を振り返る内容でしたが、話題を呼び興行収入2億円という本邦のドキュメンタリーとしては超の付く大ヒットを記録します。

勢いづいたTBSは「TBS DOCS」というドキュメンタリー専門の部署を設立、新たな作品の制作に力を入れていきます。その発表の場として去年から開催されているのが「TBSドキュメンタリー映画祭」なのです。

日本は海外に比べドキュメンタリー映画の土壌が整っていないので、ドキュメンタリー好きの筆者としてはこれを期に層が厚くなってくれればいいなあと思っています。

作品紹介

本作は、空前絶後国会議員、中村喜四郎の半生を追ったドキュメンタリーです。

中村喜四郎は茨城7区で活動する衆議院議員で、かつては科学技術庁長官や建設大臣を務めましたが、1994年のゼネコン汚職事件に関与し、議員辞職も事情聴取も拒んだ末現職国会議員として27年ぶりに逮捕されるという記録を作ってしまいました。

中村の最大の特徴は選挙での圧倒的な強さで、これまで出馬した15回の選挙のうち14回で選挙区当選しています。特に出所後の17年間は無所属で要職にも就かず議員立法にも関与しない、つまり実質何もしていないにも関わらず当選を繰り返しました。

また、ゼネコン汚職事件での逮捕時、中村は取り調べに完全黙秘を貫き、以降マスコミの取材にも一切応じず、国会での発言も一度のみという修行僧のような生活をしていました。

  • 中村には公式ホームページがありますが、こちらもビックリするほどこざっぱりした状態です。衝撃を受けると思うので一度ご覧になってみてください。

そんな中村でしたが、2019年に初めて書籍インタビューに応じ、2020年に立憲民主党に入党、そして昨年の衆院選で15回目にして初の選挙区落選を経験するという大きな動きがありました(その後比例区で復活)。

本作はその激動の最中に撮影された中村のインタビュー映像と、TBSの保管する過去の映像などを用いたドキュメンタリーとなっています。監督はTBSラジオで記者を務め「国会王子」の異名で有名な武田一顯氏です。

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【ドキュメンタリー】【映画】【TBSドキュメンタリー映画祭】『日の丸 〜それは今なのかもしれない〜』感想 「ドキュメンタリー」ってこれだ!

ヒューマントラストシネマ渋谷にて3月21日から一週間行われた「TBSドキュメンタリー映画」から、筆者の鑑賞した3作品の感想を書いていきたいと思います。

今回は最初に観た『日の丸 〜それは今なのかもしれない〜』です。

TBSドキュメンタリー映画祭とは?

2020年、TBSが制作・公開した『三島由紀夫vs東大全共闘 〜50年目の真実〜』というドキュメンタリー映画がありました。

1969年に東大本郷キャンパスで行われた三島由紀夫全共闘学生らの討論を撮影した実際のフィルムをメインに、追加取材を交えて当時を振り返る内容でしたが、話題を呼び興行収入2億円という本邦のドキュメンタリーとしては超の付く大ヒットを記録します。

勢いづいたTBSは「TBS DOCS」というドキュメンタリー専門の部署を設立、新たな作品の制作に力を入れていきます。その発表の場として去年から開催されているのが「TBSドキュメンタリー映画祭」なのです。

日本は海外に比べドキュメンタリー映画の土壌が整っていないので、ドキュメンタリー好きの筆者としてはこれを期に層が厚くなってくれればいいなあと思っています。

作品紹介

本作は、今から55年前の1967年にTBSで放送された『日の丸』というドキュメンタリー番組を取り上げた映画です。

『日の丸』は寺山修司が構成を務め、萩元晴彦という当時の気鋭のプロデューサーが制作したもので、番組の全編が不特定多数の人々への街頭インタビューのみで構成されているという非常に特殊な内容でした。

質問の内容は「日の丸の赤は何の赤だと思いますか?」「日の丸が日本の国旗であることに誇りを持てますか?」「祖国と家庭どちらを愛していますか?」などといった、人々に対し自らの愛国心を直接問うような過激なものでした。

この映画は、そんな『日の丸』と全く同じインタビューを55年後の現在の日本で行ったらどうなるのか?というコンセプトを出発点に、「日本人」というアイデンティティや、当時の寺山・萩元両名が番組に込めた思いについて探っていく内容となっています。

ちなみに、監督の佐井大紀氏は元々ドラマ制作部出身で、本作が初ドキュメンタリーなんだそうです。少しずつドキュメンタリー参入への敷居が低くなっているのかもしれませんね。

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